遺品整理をする機会はそうないため、想定外のトラブルが起こらないかと不安に思っている方もいるでしょう。
しかし次のような点を知っていればトラブルを未然に防いだり、適切に対処したりすることは可能です。
「遺品整理ではどんなトラブルが起きやすいのか」
「トラブルを防ぐために気をつけること」
「トラブルが起きた場合の対応方法」
遺品整理で起こりうるトラブルは、「親族間でのトラブル」「相続に関するトラブル」「業者とのトラブル」の3つに分けられます。
今回はそれぞれの事例はもちろん、トラブル防止のポイントや相談先なども具体的に紹介します。
長年遺品整理の現場で働いてきた私の経験も活かして解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
遺品整理の際に、家族・親族どうしでもめる例は多くあります。
具体的なトラブル事例としては、次があげられます。
遺品整理をするときに形見分けでもめるケースは多くあります。
その原因としてよくあるのが、次のようなものです。
・何の相談もなく遺品を勝手に処分した
・遺品の分配を勝手に決めた
・生前にもらうと約束していた遺品が違う人の手に渡った
・価値の高い遺品を誰がもらうのかでもめた
このようなトラブルが起こりやすいのは、人によって物に感じる価値や思い入れが違うからです。
ある人が不用品だと判断した物でも、ある人にとっては大きな価値を感じる場合もあります。
金銭的な価値だけではなく、家族・親族の気持ちにも配慮したうえで形見を分配する必要があるでしょう。
遺品整理にかかる手間や費用の負担でもめるケースも多くあります。
とくに家族・親族が遠方に住んでいる場合は負担が大きくなるため、もめやすい傾向にあります。
遺品整理には、想像以上の手間や時間がかかるものです。
故人が長年暮らしていた家を遺品整理する場合は物も多く、数ヶ月~半年ほどかかるケースも珍しくありません。
遺品整理業者に依頼すると手間や時間はそれほどかかりませんが、今度はその費用を誰が負担するのかもめる場合もあります。
なお、自力で行った場合でも、不用品の処分費用や遺品整理をする家に通うための交通費など、それなりの費用がかかる点も考えておく必要があります。
なかには遺品整理をきっかけに相続トラブルへと発展するケースもあります。
具体的なトラブル事例としては、次のとおりです。
遺品整理の際に遺産分割でもめるケースは多くあります。
たとえば不動産などの分割しにくい遺産を誰が受け継ぐのか、といった問題はなかなか良い結論が見つかりにくいものです。
金銭的な価値の低い不動産の場合、名義変更の手続きや維持の負担から面倒の押し付け合いになることも珍しくありません。
また、遺品整理中に初めて見つかった遺産の分け方でトラブルに発展する場合もあります。
その原因は、遺品の価値を正しく見積もれないことにあります。
たとえば見つかったときに価値が低いと思って引き取った遺品が、後になって価値が高いと発覚した場合を考えてみましょう。
この場合、家族・親族間での不公平が生じたり、引き取った人に予想以上の相続税が課されたりなどの問題が起こる可能性があります。
くわえて高価な遺品に関しては、価値の変動がトラブルの元になるケースもあります。
たとえば株などの有価証券や不動産、貴金属などは後になって相場価格が上昇・下落する可能性があります。
結果として、不公平だと感じた親族から遺産分割をやり直すように求められるケースもあるため注意が必要です。
【一般家庭も注意】遺品整理中に起こりやすい相続トラブルって?トラブルを防ぐための対策もご紹介
故人が遺言書を残している場合は、遺産分割でもめる可能性は低くなります。
なぜなら遺言がある場合は、原則としてその内容のとおりに相続が行われるものだからです。
しかし次のような理由によって、遺言書の内容が実現されないトラブルも存在します。
・遺言書が見つからなかった
・遺言書を誤って処分してしまった
・見つかった遺言書の取り扱いに不備があった
・遺言書の内容が不公平でもめた
・遺言書に書き損じや改ざんがあった
そもそも遺言書が法的な効力を持つためには、決められた形式で書く必要があります。
また、開封して内容を確認する手順にも決まりがあり、取り扱いに気をつけなければ無効となってしまうため注意が必要です。
遺言書を見つけた場合の取り扱い方とは?正しい開封方法と検認手続きを解説
無計画に遺品整理を進めてしまった結果、相続放棄ができなくなるというトラブルも存在します。
そもそも相続放棄とは、遺産を相続する権利を放棄することを言います。
相続放棄は、故人が負債を抱えていた場合に行われるケースがほとんどです。
というのは故人が抱えていた借金やローン、家賃の滞納といった「マイナスの遺産」は相続の対象であり、相続人はその支払い義務を引き継ぐからです。
もしこれらの負債を背負いたくない場合は、相続放棄の手続きをすることで負債を含めたすべての遺産を放棄することができます。
ところが遺品整理をしたあとでは、この相続放棄の手続きができない可能性があるのです。
なぜなら故人の遺産を一部でも処分すると、「負債も含めてすべての遺産を相続する意志がある」とみなされる場合があるからです。
故人が借金を抱えている可能性がある場合は、慎重に遺品整理を進める必要があります。
遺品整理で借金を発見!相続放棄の方法や注意点は?整理後に気づいた場合は?
遺品整理業者に依頼すれば、遺品整理にかかる手間や時間を大幅に減らせる点は大きなメリットです。
しかし一部の悪質な業者によるトラブルも報告されているため、注意が必要です。
悪質な遺品整理業者とのトラブルでもっとも多いのは、不当な高額請求です。
よくあるのは、事前に聞いていなかった追加料金を上乗せされ、見積りよりもはるかに高額な料金を請求される手口です。
他にもお金にまつわるトラブルとして、不当に安い価格で遺品を買い取られるトラブルも発生しています。
このように、悪質な業者は依頼者側に相場観がないことにつけこんで悪事を働きます。
その場ではそんなものだろうと思って支払ってしまい、後からおかしいと気づくパターンもあるため注意が必要です。
悪質な遺品整理業者による詐欺の手口とは?相談先・対処法をプロが解説
悪質な遺品整理業者による、遺品の紛失や窃盗などのトラブルも起きています。
遺品整理の際に、意外な場所から貴重品が出てくることはよくあります。
たとえば書類の間に現金が入っていたり、衣服のポケットから貴金属が出てきたりなどはよくあります。
このような場合、遺品整理業者は発見した場所を含めて依頼者へ報告するのが普通です。
しかし悪質な業者の場合、報告せずにそのまま盗むことも考えられます。
また、盗む意図がなくても、作業が雑で遺品を紛失してしまうトラブルも少なからず報告されているので注意が必要です。
遺品整理の際に出た不用品は、法律や地域のルールにのっとって処分しなければ不法投棄として罰せられます。
しかし一部の悪質な遺品整理業者や不用品回収業者が、引き取った不用品を山や川などへ不法投棄する事件が発生しています。
とくに廃棄物処理に必要な資格、許可を持っていない業者がこのような悪事を働いている傾向にあります。
このような場合、不法投棄された物の持ち主にも警察から連絡がくる可能性があるため注意が必要です。
ここまで紹介したように、遺品整理ではさまざまなトラブルが起こる可能性があります。
しかし次のような点に気をつければ、トラブルを防いだり、適切に対処したりすることも可能です。
遺品整理は、関係者と話し合いながら進めることが大切です。
なぜなら家族・親族どうしのトラブルや遺産相続に関するトラブルは、事前の話し合い不足が原因であるケースが多いからです。
遺品整理を始める前はもちろん、必要であれば遺品整理中も家族・親族と話し合って進めていきましょう。
遺品整理について話し合う際は、遺言書の有無や遺産の種類などをできるかぎり把握しておくことも大切です。
事前にこれらを把握できていれば、遺産分割についてもめる可能性も低くなり、相続放棄ができなくなるといった事態も避けられます。
業者とのトラブルを防ぐためには、信頼できる遺品整理業者を選ぶことが重要です。
優良業者を見極めるためのポイントは、次のとおりです。
・料金システムが明確な業者を選ぶ
・廃棄物収集運搬許可や古物商許可など必要な許可を得ている業者を選ぶ
・遺品整理士が在籍している業者を選ぶ
・所在地、連絡先、代表者名などが明らかになっている業者を選ぶ
・実績が豊富な業者を選ぶ
いくつかの点は問い合わせてみないと不明な場合もありますが、分からないことは遠慮せずに業者へ質問しましょう。
誠実な業者であれば、しっかりと説明してくれるはずです。
もし信頼できる業者を簡単に知りたいのであれば、遺品整理士認定協会から「優良企業」に認定されている業者の中から選ぶのも一つの手です。
優良企業の認定は、会社として登記され、遺品整理業務を適正に行っている業者にしか与えられません。
こういった優良業者の中から複数社選んで見積りをとれば、適正な料金相場も把握できてより安心です。
遺品整理中に分からないことが出てきたら、専門家への相談も検討しましょう。
たとえば金銭的な価値が分からない遺品を発見したら、専門業者に鑑定を依頼することでより公平な形見分けや遺産分割ができます。
相続や法律に関しては弁護士や行政書士、税金については税理士などへ相談することで正しい知識を得られます。
もし悪質な業者とのトラブルに巻き込まれた場合は、消費生活センターまたは国民生活センターに相談しましょう。
これらの公的組織は相談料が無料なうえ、対処法などのアドバイスもしてくれます。
電話番号が分からなくても、消費者ホットライン(局番なしの188)に電話すれば、最寄りの消費生活センターを案内してもらうことが可能です。
最後にもう一度、「遺品整理でよくあるトラブル」についておさらいしましょう。
・形見分けや遺品整理の負担について、家族や親族ともめるケースは多い
・遺品整理をきっかけに遺産分割でもめるなど、相続トラブルにつながるケースもある
・遺言書の取り扱いや相続放棄については、遺品整理を始めるまえに把握しておく
・一部の悪質な業者による不当請求、遺品の紛失、盗難などのトラブルに注意
・トラブルを防止するためには、家族や親族と話し合い、ときには専門家の力も借りることが大切
・業者とのトラブルを防ぐためには、さまざまな点から信頼度を見極めることが大切
遺品整理は経験する機会が少ないため分からないことも多く、ささいなことからトラブルに発展する場合もあります。
無用なトラブルを防ぐためにも、遺品整理は親族や専門家と協力しながら進めることをおすすめします。
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