「掃除や片付けをする気力が湧かなくて、家の中が散らかったままになっている」
「掃除や家事だけではなく、着替えや入浴さえも面倒に感じる」
「自分自身に対して興味がなくなってしまった」
このような状態に陥っている場合、セルフネグレクトの可能性があります。
セルフネグレクトとは、身の回りのことや自身のケアを放棄してしまう精神疾患です。最近では、若者にも患者が増えているといわれています。
今回は、「セルフネグレクトの特徴や原因」「セルフネグレクトになった場合の対処法や片付け方」について紹介します。
専門業者としてゴミ屋敷清掃の現場に携わっている私の経験もまじえながら解説しますので、ぜひ参考にしてくだい。
目次
セルフネグレクトは、日本語で「自己放任」といわれる心の病です。
セルフネグレクトになった方は自分自身に対して無関心になり、日常生活を維持するための意欲や能力を失ってしまいます。
よく見られる特徴としては、以下があげられます。
・掃除や片付け、洗濯などの必要な家事をしない
・着替えや入浴、歯磨きなどをさぼる
・生活リズムが乱れている
・食事に気を使わず、栄養状態が悪い
・病気になっても治療を拒否する
このような状態が続いた結果、心身の安全や健康が脅かされる状態になることも珍しくありません。
近年ではセルフネグレクトが原因で孤独死する事件も発生しており、社会問題となっています。
セルフネグレクトは、ほんの一部の人だけがかかる特殊な病気だと思われがちです。
仮に発症するとしても、身体機能や脳機能が衰えた高齢者に多い病だと考えられてもきました。
しかし以下のような、さまざまなストレスや病気がきっかけで、若者でもセルフネグレクトに陥ることが知られています。
疲れたりストレスが溜まったりしたときに「めんどくさい」と感じて、やるべき家事や掃除を後回しにすることは誰でもあるはずです。
しかし、その「めんどくさい」を放置し続けるうちに、セルフネグレクトになってしまう若者もいます。
現代社会では、働きざかりの若者のストレスが増加しています。
若い頃は、仕事やプライベートで初めて体験する出来事が多いものです。
それに加えて近年は社会の変化が速くなったため、高い順応力を求められます。
また、昔のような終身雇用制度が崩壊したことによって、経済的な不安も増しています。
このような変化の多い時代では、誰もがセルフネグレクトに陥る可能性があるといえるかもしれません。
近年、仕事や人間関係のストレスが原因でうつ病を患う方が増えています。
うつ病の主な症状は、意欲や集中力の低下、そして無気力です。
結果として判断能力も低下するため、やがて自身のケアを放棄してセルフネグレクトに陥ってしまう可能性があります。
認知症もまた、セルフネグレクトの原因になりえます。
認知症に特有の「もの忘れがひどくなる」という症状が、家事や掃除を順序立てて行うことを難しくさせるからです。
認知症は高齢者に多いイメージがありますが、若い方でも発症する可能性があります。
若い方には少ない原因ですが、一般論として、身体機能の低下によってセルフネグレクトに陥る場合もあります。
身体機能が低下する主な原因としては、老化や病気、ケガがあげられるでしょう。
老化が進むと筋力が低下し、関節が固くなるため身体の自由がきかなくなります。
また、病気を患ったりケガをしたりといった場合にも、身体を動かすのが難しくなります。
このような状態になると、思いどおりに物事をこなすことが難しく、無力感を感じがちです。
無力感を感じ続けた結果、自己評価が下がって自分を大切にしなくなり、しだいにセルフネグレクトに陥っていくといわれています。
ここまでに紹介した原因でセルフネグレクトに陥りそうになっても、周囲のサポートがあれば回避できる可能性はあるでしょう。
しかし核家族化の進んだ現代社会では、引っ越しや退職、離婚などのふとしたことがきっかけで、社会から孤立することがあります。
そのような場合、若い方はSOSが出しづらい環境にいます。
多少困っているようでも「まだ若いから大丈夫」と思われて、周りから気にかけてもらえない場合が往々にしてあるものです。
完全に孤独ではなくても、周囲がちょっとした異変に気づけないケースも増えています。最近は、SNSなどの手段でコミュニケーションを済ませることが多いためです。
人知れずセルフネグレクトに陥ってしまわないためには、対面でのコミュニケーションも大切にする必要があるでしょう。
我々も何度も見てきているのですが、セルフネグレクトに陥った方の家は、やがてゴミ屋敷のような状態と化してしまいます。
もしそのような状態を放置すれば、さらに状況を悪化させてしまう可能性も否定できません。
そのため、以下のような方法で適切に対処していくことが大切です。
セルフネグレクトを改善するための第一歩は、「自分がどのような状態であるか」を自覚することだと言われています。
セルフネグレクトに陥っている方には、現状についての自覚が乏しいという特徴があります。
現状を自覚ができない状態が続くと、さらに部屋が散らかっていき、より環境の改善が難しくなる可能性もあります。
もし自分や家族、友人がセルフネグレクトなのではないかと思ったときは、その行動を振り返ってみましょう。
家事や掃除、身の回りのことがしっかりとこなせているでしょうか。
少しでも不安があれば、以降に紹介する方法で改善していく必要があります。
セルフネグレクトに陥っている場合は、周囲のサポートや専門家による治療が必要です。
なぜならセルフネグレクトの方は、困ったことがあっても頼り方が分からなかったり、周囲に助けを求められなかったりする傾向があるからです。
もし自分がセルフネグレクトに陥っている場合は、家族や友人などの身近な存在、またはカウンセラーなどに相談してみましょう。
頼る術が分からない場合は、自治体に問い合わせてみるのも一つの方法です。近年は地域の支援センターが相談に乗ってくれるケースも増えています。
セルフネグレクトによって家の中に物やゴミが散乱している場合、できるだけ早く改善する必要があります。
なぜなら住環境は、そこで暮らす人間の心身に大きな影響を与えるからです。
衛生状態が悪いままだと、細菌やカビが繁殖して健康状態にも悪影響をおよぼしかねません。
体調が悪化した結果、さらに片付けや掃除の意欲が低下する可能性もあります。
また、害虫が発生したり異臭が発生したりしてご近所トラブルになり、社会的な孤立を招いてしまうケースもあります。
まずは、心の安定のためにも、心穏やかに過ごせる住環境を作ること。
少しずつでもいいので、心身の調子がいいときを見計らって掃除や片づけを行っていきましょう。
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とはいえ、部屋の片づけをしたくても協力してくれる人がいない、という場合もあるかもしれません。
また、すでにゴミ屋敷と呼ばれるような状態になっており、身内だけでは片づけられない場合もあるでしょう。
そういったときは、当社のようなゴミ屋敷清掃を行っている専門業者へ依頼するのも一つの方法です。
不用品回収業者やハウスクリーニング業者では、ゴミ屋敷の片づけを全て任せられないのが一般的です。
しかしゴミ屋敷清掃や遺品整理を専門とした業者であれば、物の仕分けから片付け、掃除、不用品の処分まで全てを一度に任せられます。
作業期間も1日~数日と短い場合がほとんどです。
専門業者であれば、依頼する際の心理的な抵抗感も少なくて済みます。
経験豊富な専門業者であれば、我々を含め、人それぞれ、さまざまな事情があることを理解しているものです。
また、害虫や異臭などが発生しているような状態でも、対応できるノウハウを持っている場合もあります。
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専門業者に家の中をきれいな状態にしてもらうことで、悪循環を脱出できるきっかけになる可能性もあります。
先ほどにも述べたとおり、住環境が悪い状態が続くとよいことはありません。
片付いていない部屋を見て自己評価を下げてしまい、さらにセルフネグレクトの度合いが深くなる方もいるからです。
また、衛生状態の悪化によって体調を崩し、さらに片付けや掃除の意欲が低下する可能性もあります。
しかし業者の力を借りて片づけてしまえば、少しの手間で清潔な状態を維持できるようになります。
日々の掃除のハードルも下がるため、周囲の人もサポートしやすくなるでしょう。
最後にもう一度、若者のセルフネグレクトについておさらいしましょう。
・セルフネグレクトとは、自分自身に対して無関心になり、日常生活を維持する意欲や能力を失う精神疾患
・疲労やストレス、病気やケガによって、若い方でもセルフネグレクトになる可能性がある
・セルフネグレクトに陥っている場合は、まずは自分の状態を自覚することが大切
・若者だからこそ、周囲のサポートを得たり、専門家による治療を受けたりすることも必要だと意識しよう
・心身への悪影響や孤立を防ぐためには、住環境を正常に戻すことが大切
もし自分や周囲の人だけでは片付け・掃除が難しい場合は、専門業者に相談してみることをおすすめします。
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