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2023.08.04
生前整理のお役立ちコラム
 

お墓の生前整理をする3つのメリットとは?墓じまいについても解説

生前整理をするなら、物や財産だけではなくお墓についても考えておきたいものです。

 

とはいえお墓の生前整理に関して、次のような疑問が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

 

「なぜ、生前からお墓について考えておくべきなの?」

「具体的に何をするべき?」

「墓じまいをしたい場合はどうする?」

 

以前は先祖代々のお墓に入るのがあたり前でしたが、近年はお墓の継承や維持管理を考えて別の選択をする方も増えてきています。

 

今回は「お墓を生前整理するメリット」「具体的にやること」「墓じまいの方法」について解説します。

 

プロとして生前整理や遺品整理のお手伝いをしている私の知見もまじえて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

お墓の生前整理をする3つのメリット【負担軽減】

 

生前からお墓について考えることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。

 

しかし次のようなメリットから、近年は生前からお墓の整理をする方が増えています。

 

家族の負担を減らせる

お墓をどうするか生前から決めておけば、家族の将来的な負担を軽減することが可能です。

 

故人の遺骨をどこに納骨するか悩む遺族は、意外に多くいらっしゃいます。

 

先祖代々のお墓がある場合でも、お墓の場所が遠ければ墓参りにかかる時間的・経済的負担が大きくなります。

 

かと言ってお墓を移動しようと考えた場合、ご先祖の遺骨をどこに移せば良いのか、勝手に移してもよいものか悩むものです。

 

また、新規でお墓を購入する場合であっても、その購入費用や維持管理を誰が負担するのかで揉めるケースもよくあります。

 

ご自身が亡くなったあと、家族は葬儀や相続手続き、遺品整理などお墓への納骨以外にもやることが多くあります。

 

「ご自身の遺骨を納めるお墓」についてはもちろん「今あるお墓の扱い」や「費用や管理の負担」についても生前から決めておくことをおすすめします。

 

相続税対策になる

生前からお墓を準備しておけば、相続税対策にもなります。

 

亡くなった人の財産を生きている人が相続した場合、原則として相続税が課されます。

 

しかし墓地の権利や墓石などの「祭祀財産」は、相続税の課税対象にはなりません。

 

つまり生前からお墓の費用を支払って準備しておけば、家族が負担する相続税を軽減することも可能なのです。

 

ただしお墓を建てるための費用を相続する場合は相続税の課税対象となる点には、気をつける必要があります。

 

【生前整理】祭祀財産も早めに相続の決断を|家族と話しておくべきポイントを解説

仏壇

 

参考: No.4108 相続税がかからない財産 - 国税庁

 

自分の希望が反映される

生前からお墓を準備しておけば、供養の方法に自分の希望を反映できます。

 

たとえば新規にお墓を建てる場合は、お墓の形や色などのデザインを自分で選ぶこともできるでしょう。

 

また、場合によっては供養の方法も自分で決めることができます。

 

近年では永代供養墓や樹木葬、散骨など従来的なお墓以外の選択肢が増えています。

 

そういった供養方法の希望がある場合、生前から準備しておくことで家族や親族に実現してもらうことも可能です。

 

お墓の生前整理でやること【準備・手配】

 

お墓を生前整理すると言っても、何をすれば良いのか分からない方も多いかもしれません。

 

具体的にやるべきことは、次のとおりです。

 

お墓の場所・形式を考える

まずは、お墓の場所や形式について考えましょう。

 

その際、ご自身の希望はもちろん家族がお墓を管理するときの負担も考えることが大切です。

 

先祖代々のお墓に納骨してほしい場合は、霊園やお寺の場所、手続き方法を家族が分かるようにしておきましょう。

 

もしお墓の継承や維持管理の問題などで先祖代々のお墓以外に納骨してほしい場合は、次のような選択肢があります。

 

・新しいお墓を建てる

・納骨堂(建物の中に設けられた納骨施設)

・合祀墓(血縁関係のない複数の故人の遺骨を一緒に埋葬するお墓)

・樹木葬(墓石ではなく樹木を墓標とするお墓)

・散骨(海や山、川に遺骨を撒く供養方法)

・手元供養(故人の遺骨を自宅などの身近におく供養方法)

 

これらの中には宗教や宗派に関係なく入れるお墓も多くあります。選択肢は多いので、いろいろと調べてみると良いでしょう。

 

なお、先祖代々のお墓以外に納骨する場合は、今あるお墓をどうするかを考える必要もあります。

 

具体的には、墓じまいの方法やご先祖さまの遺骨の改葬先などです。これらの点については、後ほど詳しく解説します。

 

お墓にかかる費用を計算する

お墓の場所や形式について決まったら、かかる費用も調べます。

 

同時に、その費用を誰がどうやって負担するのかも考えておきましょう。

 

新しくお墓を建てるのであれば、数百万円単位のまとまった金額が必要です。その場合、墓地の広さや立地、墓石の種類などによって値段が変わります。

 

納骨堂や合祀墓などに納骨する場合でも、お寺や霊園によって費用に差があります。

 

ホームページやパンフレットで確認したり、問い合わせたりして金額を確認しましょう。

 

お墓の管理について考える

お墓について考えるうえでは、誰がどうやって管理するかを考えておくことも大切です。

 

従来型の、墓地に墓石を建てるタイプのお墓は、お墓の継承者が管理することが前提となっています。

 

管理費を支払う必要があることはもちろん、お墓がお寺にある場合は行事への参加やお布施も必要になるでしょう。

 

いっぽうで納骨堂や合祀墓、樹木葬といった新しい形式のお墓のなかには管理者が必要ないものも存在します。

 

近年では、お墓の管理が遺族の負担にならないように、こういった跡継ぎのいらないお墓を選ぶ方も増えています。

 

家族・親族と話し合う

生前からお墓の準備をする場合、家族・親族とよく話し合っておくことも大切です。

 

先祖代々のお墓以外へ納骨を希望する場合は、身近な家族はもちろん、その他の親族の理解も得ておく必要があります。

 

なぜなら故人の希望だけを優先した結果、親族間で揉めたり、お墓の維持管理が難しくなったりすることがあるからです。

 

たとえば故人の希望どおりに墓じまいをした結果、配偶者や長子が親族から責められるといった事例はよくあります。

 

また、新しく建てたお墓の場所が遠すぎて、家族・親族がなかなか墓参りにいけなくなってしまうケースもよく見られます。

 

お墓の場所や形式は、自分の希望だけではなく関係者皆のことを考えて決めましょう。

 

実行されるように手配しておく

お墓について決めたことは、亡くなったあとに実行されるよう手配しておきましょう。

 

手配の方法として簡単なのは、お墓についての希望や必要な手続きについてエンディングノートなどに記録しておくことです。

 

お墓だけではなく葬儀についても記載しておくと、家族の負担をより減らせるでしょう。

 

また、もっとも確実な方法はお墓を生前契約しておくことです。近年は本人が入るお墓を生前から契約できるケースが増えてきています。

 

この場合、生前契約で得たお墓は相続税の課税対象にならないため、相続税対策としても有効です。

 

エンディングノートとは?書き方・メリット・注意点などについて解説!

ノートを持つ高齢女性

 

お墓の生前整理で墓じまいをする方法【手続き・書類】

 

生前からお墓の準備をするうえでは、先祖代々のお墓を墓じまいしなければならない場合もあります。

 

その場合、次のとおり手続きを進めるのが一般的です。

 

新しい納骨先を決める

まずは墓じまいをする前に、ご先祖さまの遺骨をどこに移すのかを決める必要があります。

 

家族や親族にも相談したうえで、費用面や立地を考慮して選びましょう。

 

永代供養墓などの中には、昔のお骨を受け入れていないところもあるので事前に確認する必要があります。

 

新しい納骨先が決まったら、そこの管理者から「受入証明書」という書類を発行してもらいましょう

 

お寺や霊園に伝える

新しい納骨先が決まったら、墓じまいすることをお寺や霊園に伝え、「埋葬証明書」という書類を発行してもらいます。

 

墓じまいをすることは、できるだけ早めに相談しておくほうが良いでしょう。

 

公営の墓地はスムーズに解約できる場合も多いのですが、お寺の場合そうはいきません。

 

なぜならお寺にあるお墓を墓じまいするということは、離檀する(檀家をやめる)ことを意味するからです。

 

離檀は相手のお寺にとって減収につながり、運営にも関わります。

 

一方的に話を進めようとするのではなく、先祖代々お墓を守ってくださったことに対する感謝を示しつつ穏便に話を進めることが大切です。

 

墓石の撤去作業を依頼する

墓じまいをするためには、墓石を撤去して更地に戻してくれる業者を探す必要があります。

 

墓石の撤去は、石材店(墓石の販売店)に依頼するのが一般的です。

 

業者を選ぶ際は、いくつかの業者から見積もりをとると費用を抑えられる可能性があります。

 

なお、墓石を撤去する石材店はお寺や霊園側が指定している場合もあるので、墓じまいの相談をするときに確認しておきましょう。

 

改葬許可申請をする

ご先祖さまの遺骨を他の場所に移すときは「改葬許可証」が必要です。

 

改葬許可証は、現在のお墓がある自治体の役所で発行申請できます。

 

申請するときは、新しい納骨先で発行してもらった「受入証明書」や、現在のお墓がある場所で発行してもらった「埋葬証明書」添付するのが一般的です。

 

ただし自治体によっては、「埋葬証明書」を添付する代わりに申請書類に現在の墓地管理者の署名と捺印をもらうよう求められる場合もあります。

 

添付書類や必要な署名などは、申請前に自治体へ確認しておくとスムーズでしょう。

 

閉眼供養と墓石の撤去

各種の必要書類が揃ったら、いよいよ墓じまいを行います。

 

仏教式のお墓の場合は、閉眼供養のあとに墓石を撤去して更地に戻すのが一般的です。

 

閉眼供養とは、墓石から魂を抜いてただの石に戻す儀式のことを言います。

 

閉眼供養はお寺の僧侶にお願いするのが習わしですが、公営墓地などでは近隣のお寺に来てもらう場合が多いでしょう。

 

このとき僧侶にお布施を渡す必要があるので、忘れずに準備しておく必要があります。

 

なお、閉眼供養は絶対に行わなくてはいけないものではありません。

 

しかし閉眼供養が済んでいないと墓石を撤去してくれない石材店も多いので、必要になる場合がほとんどと言えます。

 

新しい納骨先へ遺骨を運ぶ

墓じまいが済んだら、納められていた遺骨を新しい納骨先に運びます

 

遺骨は自分で運ぶケースがほとんどです。なぜなら墓じまいの際に石材店が行うのは、遺骨の取り出しから墓石の撤去、整地までだからです。

 

遺骨を運ぶ方法としては、自家用車や公共交通機関で運ぶか、日本郵政のゆうパックで運ぶ方法が一般的でしょう。

 

数は少ないものの、近年は遺骨を運んでくれる専門サービスなども登場しているので、サービス提供エリアであれば利用することもできます。

 

お墓の生前整理で家族の負担を減らそう【まとめ】

 

最後にもう一度、「お墓の生前整理」についておさらいしましょう。

 

・生前からお墓を整理しておけば、家族の負担を軽減できるうえ相続税対策にもなる

・お墓の生前整理では、まずはお墓の場所や形式について考える

・お墓の生前整理では、費用や管理についても考えておくことが大切

・お墓については家族・親族と話し合ったうえで、亡くなったあとに自身の考えが実行されるようにしておく

・墓じまいをするときはお寺や霊園に早めに伝え、新しい納骨先も考えておく必要がある

・墓じまいには受入証明書・埋葬証明書・改葬許可証などの書類が必要

 

お墓を生前整理しておけば、家族の精神的・金銭的な負担を減らせるうえ、ご自身の希望を供養の方法に反映することも可能です。

 

お墓について気がかりがある場合は、財産などの生前整理と並行して取り組むことをおすすめします。

 

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