「高齢者の間でセルフネグレクトが増えている」と聞いて、心配になっていませんか?
本来、セルフネグレクトは高齢者に限らず、成人であれば誰でもなる可能性のある心の病です。
しかし、内閣府の調査によると、セルフネグレクト状態の高齢者は全国で約1万人にものぼるとされています。
また、セルフネグレクトの特性上、実際はもっと多いのではないかとも推測されているのです。
セルフネグレクトは、放っておくと孤立死を招く可能性もあります。そのため、早めに対策を取ることが何よりも大切です。
この記事では、まずセルフネグレクト状態にある高齢者の特徴を解説。
さらにセルフネグレクトが高齢者の間で増えている理由や、セルフネグレクトの高齢者に対して家族ができることについても解説します。 ぜひ参考になさってください。
目次
まず、セルフネグレクト状態の高齢者には次のような特徴が見られます。
・栄養のある食事を取っていない
・部屋や身なりを清潔にしない
・病気や怪我をしているのに、病院に行かない
とくに高齢者であれば、若い人たちに比べると、病院にいく機会も多いはずです。
それでもかたくなに病院へ行こうとしない、むしろ「放っておいてほしい」と言っている方はセルフネグレクトの可能性が高いと言えます。
このように、明らかに「援助が必要な状態」であるにも関らず、自分から助けを求めたり、援助を申し出ても拒否する様子があれば、セルフネグレクトを疑った方が良いかもしれません。
他にも、セルフネグレクトになると汚部屋を引き起こすことも多いです。
こちらの記事では、セルフネグレクトと汚部屋の関係性や、汚部屋を解消する方法について解説しています。
もし「そういえば最近、部屋が散らかるようになってるかも…」と感じている方は、ぜひご覧になってみてください。
【放置しないで】汚部屋を生むセルフネグレクト|原因と対策を解説
それではなぜ、高齢者にセルフネグレクトが増えていると言われているのでしょうか?
高齢者に限らず、成人であれば誰でもなる可能性があるセルフネグレクト。その大きな原因と言われているのは、孤独感や喪失感、無力感です。
これらは本来、生きていたら誰でも感じることです。でも、高齢者の方は長く生きていらっしゃる分、孤独感や喪失感もより強く感じやすくなります。
このため、高齢者はセルフネグレクトになりやすいと言われているのです。
ここでは、具体的にどのような場面で孤独感や喪失感、無力感を覚えやすいのか、例をあげて説明していきます。
高齢者がセルフネグレクトになりやすい大きな原因の1つは、身体機能の低下です。
・栄養のある食事を取っていない
・目が悪くなって、よく見えない
・関節が痛くて、手が伸ばせない
・歩くのが辛い
・筋力が落ちて、重いものを持てない
体が思うように動かせないと「なんでこんなこともできないんだろう」と感じてしまうもの。
健康に生活したいという意識があったとしても、だんだん自分自身の価値を下げて考えてしまうのです。
高齢者に多い糖尿病も、セルフネグレクトを引き起こす可能性があります。
糖尿病が悪化すると、疲れやすくなったり、体にだるさを感じることが多くなるからです。
常に体がだるい状態だと、思うように体を動かしにくいもの。
また、糖尿病は食事管理もかなり厳しいので「こんなにしんどいのに、何で生きてなきゃいけないんだろう…」と落ち込んでしまうことが多いのです。
高齢者になると、定年退職で仕事を強制的にやめなくてはいけません。
また、体が思ったように動かなくなることで、本当は続けたかったのに、やめざるをえない状況になることもあります。
生きがいだったことが急になくなってしまうと、一気に生活が味気ないものに感じてしまうもの。
「私は何のために生きているんだろう?」と自分自身の価値がなくなったように感じて、セルフネグレクトを引き起こしてしまいます。
配偶者や身近な人が亡くなることも、セルフネグレクトの原因になると言われています。
死別は人にとって大きなストレスになるもの。長年連れ添った人との死別だったらなおのことです。
心の支えがなくなることで「何のために料理(掃除)してるんだろう?」とセルフケアに意味を見いだせなくなってしまうのです。
さらに配偶者がなくなって、一人暮らしになると、セルフネグレクトが悪化しやすくなる可能性があります。
「頼りたくても、頼れる人がいない」「もう身なりを気にしても意味がない」と思ってしまうからです。
最終的には「自分なんて何の価値もない」「もう全てどうでも良い」と感じてしまい、困ったことがあったとしても、黙って誰にも迷惑をかけないようにしようとするのです。
実際、内閣府の調査でも、セルフネグレクトの高齢者のうち約70%が「本人のみの独居」という結果が出ているほど。
そして一人暮らしは孤立死の可能性も高めてしまうので、かなり危険な状態と言えるのです。
認知症も、高齢者のセルフネグレクトを引き起こす原因の1つです。 認知症になると、判断力が低下してしまいます。
「今何をやるべきなのか」「今はどんな状況なのか」分からなくなるため、生活環境が悪くなっても気づくことができません。
自分自身にどんなケアをすればいいのかも分からなくなり、結果として生活が荒れてしまうのです。
実際、内閣府の調査でもセルフネグレクトの高齢者の半数以上は「介護の必要な認知症」と診断されている人たちだったという結果が出ています。
経済状況の悪さも、セルフネグレクトを引き起こす可能性があります。
栄養のある食事を毎日取るには、一定の経済力は必要です。しかし、お金がないと健康的な食生活を送ることは難しくなります。
さらに、必要な栄養を取れないことで、判断力も鈍ってしまいます。
また、お金がないと、病気になったとしても医療費が払えません。
高齢者の方の中には、仕事を定年退職したことで健康保険を喪失した人もいます。
本来は、国民健康保険に入る必要があるのですが、収入がないと毎月の保険料を払うのも難しくなり、結果として病院にも行かなくなってしまうことに。
健康的な生活を送りたくても、その生活を送るための経済力がないことで、強制的にセルフネグレクト状態になってしまう可能性もあるのです。
ここまでいくつか原因を紹介してきましたが、実際は原因が分からないことも多いと言われています。
というのも、特定の1つだけでなく、いくつかの原因が絡み合ってセルフネグレクトが引き起こされているケースもあるからです。
内閣府の調査でも、約40%の人は、セルフネグレクトになったきっかけや理由を「覚えていない・分からない」「特段、きっかけはない」と答えています。
気づかないうちにセルフネグレクトになっていたということも十分にありえるのです。
セルフネグレクトになったとしても、特別な法令があるわけではないので、行政から強制的にサービスを受けさせることはできません。
そして、セルフネグレクトになった本人が積極的にサービスを利用しようとすることもないでしょう。 だからこそ、1番身近な存在である家族からのケアが重要と言われています。
ここからは、一般的な方法ではありますが、セルフネグレクトの高齢者の方に対して、家族はどんなケアができるのかを解説します。
まずは本人に会いに行き、話や想いをしっかり聴きましょう。
会う回数を増やし、話す機会を増やすことで、信頼関係を作ることができるからです。
本人の表情や態度をしっかり観察して「あんまり元気ないように見えるけれど、どうしたの?」と聴いてあげましょう。
そうすることで、相手は「ここに居場所がある」と本音を話しやすくなります。
こちらが心配してサービスをすすめているのに「いやだ」「必要ない」「放っておいて」とかたくなに拒否し続ける様子に、イライラしてしまうこともあるかもしれません。
それでも、「いい加減にして」「どうしてなの?」と責めないようにしてください。
人は責められると、心を開きにくくなるもの。
「ここには怖いものはないよ」「安心して話してほしい」と相手に伝わるような態度で接するように心がけてほしいです。
セルフネグレクトは簡単に治るものではないと言われています。
まずは、閉ざしてしまった心を開いてもらえるようにすることが、セルフネグレクト脱却の第一歩なのです。
次に、行政との連携も取っていきましょう。行政では、高齢者の孤立死を防ぐための仕組み作りを進めてくれているところも増えているからです。
例えば、毎朝家を回る新聞配達の方が様子を見に来てくれたり、近所の人や小学生が定期的に訪問してくれたりなど、自治体独自の策を実施しています。
セルフネグレクトの特性上、行政の視点からセルフネグレクトの人を見つけるのは簡単ではありません。
しかしこちら側から依頼することで、行政側でも認識してくれます。
ご家族だけで抱え込みすぎないためにも、積極的に行政を頼っていただきたいと思います。
他にも、ご本人に認知症がある場合は医師や地域包括支援センターに相談してみてください。
認知症は完治させることはできないものの、進行を遅らせたり、症状を緩和したりすることはできると言われています。
とくに、病気のことに関しては、医師のように専門家からの意見の方が受け入れてくれる可能性が高いです。
さらに、医師から診断を受けたら、今後の生活のためにどんな支援が必要になるかを考えなくてはいけません。その際は、地域包括支援センターに相談してみてください。
地域包括支援センターは、全国の自治体にある無料の相談窓口です。介護についてとても詳しいので、親身になって、一緒に必要な介護サービスを考えてくれます。
さらに、民間サービスの利用も検討してみましょう。
例えば、家事がうまくできないのなら、家事代行サービスを利用することで、家族も本人も負担を減らすことができます。
ただ、本人が業者の利用を嫌がる様子があれば、無理に利用しないようにしましょう。本人の意向なく、無理矢理進めてしまうと信頼関係を壊しかねません。
ご本人と話して、本人が納得したときに利用するようにしましょう。
もし、今の部屋を一気に綺麗にしたいのであれば、民間の清掃業者を検討してみてください。
片付けだけでなく、特殊なものの処分方法など、最後まで丸投げできるので、ストレスを最低限に抑えられます。
清掃業者は、遺品整理業も並列して行っていることも多いです。
こちらの記事では、遺品整理業者の費用相場や依頼するときの注意点などをまとめています。
ぜひ参考になさってください。
遺品整理とは?費用相場・メリット・いつから始めるか解説|大阪の遺品整理業者クリーンケア
関西圏にお住まいの方は、ぜひ私の所属するクリーンケアにご相談ください。
どんなことでもスタッフが親身になってご対応させていただきます。
セルフネグレクトの高齢者が増えている理由や、セルフネグレクトの方に対して家族ができることについて解説してきました。
セルフネグレクトは、孤独感や喪失感、無力感を覚えたときに引き起こされやすくなると言われています。
高齢になられた分、そのストレスはより強く感じやすいもの。どうか定期的に訪問して、様子を見に行ってあげてください。
セルフネグレクトは簡単に治せるものではないと言われています。だからこそ、1人で抱え込まず、行政や福祉、民間企業などのサービスも積極的に利用してくださいね。
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