遺品整理をしている最中に起こるのが、その場で遺言書が見つかるということです。
見つかった場合は一体どうすれば良いのでしょうか?
本記事では、遺品整理の際に見つかった遺言書への対応についてご説明いたします。
そもそも遺言書とは何なのでしょうか?
「人が死ぬ前に書く書類」ということはわかっていても、改めてその定義を聞かれるとよく分からないという方が多いのではないでしょうか?
小説やドラマなどで、「その遺言書は無効だ」といったような言葉を聞くこともありますが、では実際に有効なものとはいったいどのようなものなのでしょうか?
正式には、家庭裁判所により検認を行われた法的効力のある「被相続人が自らの資産の配分に関して書き記した書類」のことです。
しかし、検認をされる前の書類も遺言書という呼び方をしますのでその点には注意しておきましょう。
そして、家庭裁判所によっての検認をされていないものに関しては絶対に勝手な開封をしないように気をつけましょう。
相続人立ち合いの上で検認を行い、それははじめて法的効力をもった「遺言書」となるのです。
勝手な開封を行ってしまうと、過料が課せられたり偽造や改ざんを様々な方に疑われてしまったりする可能性があります。
独断で開封をすることのメリットは全くありませんので、興味本位や誤って開封してしまうことのないよう十分に気をつけましょう。
その他のトラブルで少なくないのが、遺産分割がすべて完了した後に、遺言書が出てきてしまうケースです。
こういった場合、多くの場合相続人同士で話し合った遺産分割の内容と遺言書の内容は異なるのではないでしょうか?
全く同じであれば問題はありませんが、そういったことは稀でしょう。
では、内容の違う「遺言書の内容」と「遺産分割協議の内容」はどちらが優先されるのでしょうか?
優先されるのは、「遺言書の内容」なのです。
遺言書は非常に強い法的拘束力を持っているため、遺産分割後に見つかった場合下記条件に当てはまる場合は遺産分割協議を再度行う必要があります。
条件1:遺言執行者が遺言書で指定されている場合
条件2:特定の人物に相続する旨の記載があった場合
条件3:法定相続人以外の相続人の存在が発覚した場合
条件4:相続人のうち、一人でも遺言書通りの遺産分割をやり直したいと主張した場合
条件5:相続人の廃除や相続人の廃除の取り消しを意味する記載があった場合
遺品整理の際に見つかった場合について記載してまいりましたが、では逆に遺品整理の際に見つからなかった場合はどのようにすれば良いのでしょうか?
その場で見つからなかった場合は、遺産は「民法900条」によって定められた法定相続人によって相続されます。
この法定相続人に関しては、親族間で知らなかった別の相続人が存在するような場合もあるため、戸籍などを確認し相続人の人数や誰が相続人なのかについて確認をとるようにしましょう。
また、その際に見つからなかった場合でも、後々になって出てくるということも十分にあり得ます。
そういった場合も、既に遺産分割は終わっているからとなかったことにすることなく、まずは他の相続人に伝えるようにしましょう。
遺品整理の際に遺言書が見つかった場合の対処法について記載いたしました。
遺品整理の際に見つかった場合に絶対に気をつけなければならないことは、勝手な開封をしてはならないということです。
開封することによって過料が課せられたりあらぬ疑いをかけられたりすることもあります。
遺品整理の際に見つかった場合は、速やかに他の相続人にその事実を伝え、開封は家庭裁判所立会いの下で行うようにしましょう。