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2026.05.22
ゴミ屋敷整理のお役立ちコラム
 

ゴミ屋敷の原状回復と退去費用|賃貸で請求される金額の相場と対処法

「賃貸がゴミ屋敷になってしまい、退去が迫っている…」「原状回復でいくら請求されるのだろう?」――そんな不安を抱えていらっしゃる方は少なくありません。

ゴミ屋敷化した賃貸物件の退去は、通常の引越しとは比較にならないほど多くの費用が発生する可能性があります。ゴミの撤去費用だけでなく、床や壁の修繕費用、さらには特殊清掃が必要になるケースもあり、請求額が100万円を超えることも珍しくありません。

しかし、大家さんからの請求が必ずしもすべて正当とは限りません。国土交通省のガイドラインに基づけば、通常損耗や経年変化は貸主負担とされており、借主が支払うべき金額は想像よりも少ないケースもあります。

この記事では、ゴミ屋敷化した賃貸物件における原状回復義務の基本から費用の相場、高額請求への具体的な対処法まで、わかりやすく解説します。退去を控えている方も、これから対策を考えたい方も、ぜひ最後までお読みください。

賃貸物件のゴミ屋敷化と原状回復義務の基本

原状回復義務の基本

ゴミ屋敷化した賃貸物件の退去を考えるうえで、まず知っておくべきなのが「原状回復義務」の正しい意味です。多くの方が「部屋を借りた時の新品の状態に戻すこと」と誤解していますが、実はそうではありません。

原状回復の正しい定義とは

国土交通省が策定した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を以下のように定義しています。

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

つまり、原状回復とは「新品に戻すこと」ではなく、借主の故意や過失によって生じた損耗を修繕することを指します。経年変化や通常使用による損耗(通常損耗)は、原則として貸主の負担です。

善管注意義務とゴミ屋敷の関係

善管注意義務とは、民法第400条に規定されている「善良な管理者の注意をもって使用する義務」のことです。賃貸物件の借主は、この義務に基づき、借りている部屋を適切に管理しなければなりません。

具体的には、以下のような行為が善管注意義務違反に該当します。

  • ゴミを長期間溜め込み、部屋を著しく不衛生な状態にする
  • 水漏れや設備の故障を放置し、被害を拡大させる
  • カビの発生を知りながら放置し、壁や天井に損傷を与える
  • 結露を放置して窓枠や壁を腐食させる

ゴミ屋敷化は、この善管注意義務に明確に違反する行為です。ゴミを溜め込むことで床材が腐食したり、害虫が発生したり、悪臭が壁紙に染み付いたりした場合、その修繕費用は借主の負担となります。

賃貸借契約における原状回復の位置づけ

賃貸借契約書には、退去時の原状回復に関する条項が記載されているのが一般的です。ただし、契約書に「全額借主負担」と書かれていたとしても、消費者契約法の観点から無効になるケースもあります。

2020年の民法改正により、通常損耗と経年変化は貸主負担であることが法律上も明確化されました(民法第621条)。このため、ゴミ屋敷であっても「すべてが借主負担」ではなく、通常損耗に当たる部分と善管注意義務違反に当たる部分を分けて考えることが重要です。

通常損耗と借主負担の違い

通常損耗と借主負担の違い

ゴミ屋敷の原状回復費用を正しく理解するためには、「通常損耗(貸主負担)」と「借主の故意・過失による損耗(借主負担)」の違いを知っておくことが不可欠です。この違いを知らないまま請求を受け入れてしまうと、本来支払う必要のない費用まで負担することになりかねません。

通常損耗と経年変化(貸主負担)の例

以下のような損耗は通常損耗・経年変化に該当し、原則として貸主が負担するものです。

  • 家具を置いたことによる床やカーペットのへこみ
  • 日照による壁紙やフローリングの変色・退色
  • テレビや冷蔵庫の裏側にできた黒ずみ(電気焼け)
  • 画鋲やピン程度の壁の穴
  • エアコン設置による壁のビス穴
  • 経年劣化による壁紙の剥がれやひび割れ
  • 網戸の張り替え(経年劣化の場合)

借主の故意・過失による損耗(借主負担)の例

一方、以下のような損耗は借主の故意・過失または善管注意義務違反に該当し、借主が修繕費用を負担するものです。

  • ゴミの放置による床材の腐食・変色
  • 生ゴミや汚水の放置によるカビの大量発生
  • 害虫(ゴキブリ・ダニ等)の発生による衛生被害
  • 悪臭の壁紙や天井への染み付き
  • ペットの尿によるフローリングの腐食
  • タバコのヤニによる壁紙の黄ばみ・臭い
  • 水回りの著しい汚れ・詰まり
  • 釘やネジによる壁の大きな穴

ゴミ屋敷で特に問題になる損耗

ゴミ屋敷化した賃貸物件では、以下のような深刻な損耗が発生していることが多く、これらはすべて借主負担となります。

損耗の種類具体的な状態負担区分
床材の腐食ゴミや液体の放置で床がブヨブヨに借主負担
壁紙の汚損悪臭やカビが壁紙に染み付いている借主負担
水回りの破損排水溝の詰まり、カビの大量発生借主負担
害虫被害ゴキブリ・ダニの大量発生、木材の食害借主負担
悪臭部屋全体に染み付いた腐敗臭借主負担
設備の故障換気扇やエアコンの汚損による故障借主負担

ただし、これらの損耗であっても、経年劣化による価値の減少分(減価償却)は差し引かれるべきです。たとえば、壁紙の耐用年数は6年とされており、入居6年以上であれば壁紙の残存価値は1円と計算されます。

ゴミ屋敷の原状回復にかかる費用の相場

原状回復の費用相場

ゴミ屋敷化した賃貸物件を退去する際、実際にどのくらいの費用がかかるのかは最も気になるポイントでしょう。ここでは、ゴミの撤去費用と原状回復費用の相場を具体的にご紹介します。

間取り別のゴミ撤去費用の相場

まず、部屋に溜まったゴミの撤去にかかる費用の目安は以下のとおりです。

間取りゴミ撤去費用の相場(税込)
1R・1K7.7万円〜15万円
1DK・2K10万円〜20万円
1LDK・2LDK15万円〜30万円
3DK・3LDK20万円〜40万円
4DK・4LDK25万円〜60万円

上記の金額はゴミの量や種類によって大きく変動します。天井近くまでゴミが積み上がっているような極端なケースでは、上記の目安を超える費用がかかることもあります。

原状回復費用の目安

ゴミの撤去後に必要となる原状回復費用の目安は、一般的に家賃の3ヶ月分程度と言われています。ただし、ゴミ屋敷の場合は損耗の程度が通常より著しいため、これを上回ることが少なくありません。

主な原状回復費用の内訳は以下のとおりです。

  • 壁紙の張り替え:1平方メートルあたり800円〜1,500円
  • フローリングの張り替え:1平方メートルあたり8,000円〜15,000円
  • クッションフロアの張り替え:1平方メートルあたり2,500円〜4,500円
  • ハウスクリーニング:1Rで3万円〜、3LDKで7万円〜
  • エアコンクリーニング:1台あたり1万円〜2万円

特殊清掃が必要な場合の費用

ゴミ屋敷化が深刻で、強烈な悪臭や大量の害虫が発生している場合には、通常の清掃では対応できず、特殊清掃が必要になります。特殊清掃の費用相場は10万円〜30万円程度ですが、汚染の範囲や程度によってはさらに高額になります。

特殊清掃では、以下のような専門的な作業が行われます。

  • オゾン脱臭:部屋全体に染み付いた悪臭を分解・除去
  • 害虫駆除:ゴキブリ、ダニ、ハエなどの徹底駆除
  • 除菌・消毒:カビや細菌の除去
  • 床下の洗浄:液体が染み込んだ床下の処理

実際の高額請求事例

ゴミ屋敷の原状回復では、深刻なケースになると100万円を超える費用が請求されることもあります。過去の裁判例では、ゴミ屋敷化した賃貸物件の原状回復費用として192万円の支払い命令が出されたケースもあります。

このケースでは、長年にわたるゴミの溜め込みにより、床材の全面張り替え、壁紙の全面張り替え、水回り設備の交換、特殊清掃などが必要となり、費用が膨らみました。

早い段階でゴミの片付けに着手していれば、ここまでの費用にはなりません。退去が決まったら、できるだけ早く行動を起こすことが費用を抑える最大のポイントです。

大家からの高額請求への5つの対処法

高額請求への対処法

ゴミ屋敷の退去後、大家さんから高額な原状回復費用を請求されるケースは珍しくありません。しかし、請求された金額をそのまま全額支払う必要があるとは限りません。ここでは、高額請求に対する5つの対処法をご紹介します。

1. 慌てて全額を振り込まない

高額な請求書を受け取ると、パニックになって「早く払わなければ」と焦ってしまう方も多いでしょう。しかし、慌てて全額を振り込んでしまうのは絶対に避けてください。

一度支払ってしまうと、後から「払いすぎだった」と気づいても返金を求めるのは非常に困難です。まずは冷静に請求内容を確認し、支払期限までに十分な時間がない場合は、書面で猶予を求めましょう。

2. 詳細な内訳の開示を求める

請求書を受け取ったら、まず費用の詳細な内訳を書面で提出するよう求めてください。「原状回復費用一式○○万円」といった大雑把な請求では、何にいくらかかっているのかがわかりません。

具体的には、以下の情報を求めましょう。

  • 修繕箇所ごとの費用(壁紙、床、水回りなど)
  • 各箇所の施工面積単価
  • 施工業者の見積書のコピー
  • 修繕前の状態を記録した写真

大家さんや管理会社には、請求の根拠を示す義務があります。内訳の提出を拒否されたり、曖昧な回答しか得られない場合は、その請求自体の妥当性に疑問を持つべきです。

3. 通常損耗と借主負担分を明確に分離する

内訳が明らかになったら、その中から通常損耗・経年変化に該当する項目を見極め、差し引くよう交渉しましょう。

よくある不当請求のパターンとしては、以下のようなものがあります。

  • 入居前から傷んでいた箇所の修繕費用を請求されている
  • 部分的な修繕で済む箇所を全面張り替えの費用で請求されている
  • 通常の使用による損耗まで借主負担として請求されている
  • ゴミ屋敷とは関係ない箇所の修繕費用まで含まれている

国交省ガイドラインでは、損耗箇所の修繕は「㎡単位」が原則であり、一部の汚損をもって壁紙全面張り替えを借主負担とすることは不適切とされています。

4. 耐用年数と減価償却を確認する

原状回復費用を算定する際には、設備や内装材の耐用年数に基づく減価償却を考慮する必要があります。これは多くの方が見落としがちですが、費用を大幅に減額できる重要なポイントです。

主な設備の耐用年数は以下のとおりです。

設備・内装材耐用年数入居6年後の残存価値
壁紙(クロス)6年1円
カーペット6年1円
クッションフロア6年1円
エアコン6年1円
フローリング建物の耐用年数に準じる経過年数による

たとえば、入居6年以上経過している場合、壁紙の残存価値は1円です。つまり、壁紙の張り替え費用が10万円であっても、借主が負担すべき金額はほぼゼロということになります。

ゴミ屋敷であっても、この減価償却の考え方は適用されます。「ゴミ屋敷だから全額負担」ということはありません。

5. 退去前に室内の写真を記録しておく

退去する前に、部屋の現状を写真や動画で詳細に記録しておくことが非常に重要です。この記録は、後から請求内容が妥当かどうかを判断するための重要な証拠になります。

撮影のポイントは以下のとおりです。

  • すべての部屋を、広角で全体が写るように撮影する
  • 損耗が目立つ箇所はアップでも撮影する
  • 日付がわかるように、撮影日時の記録を残す
  • 可能であれば入居時の写真と比較できるようにする
  • 水回り、壁、床、天井、収納内部など漏れなく撮影する

写真がなければ「言った・言わない」の水掛け論になりがちです。証拠を残しておくことが、自分を守る最大の武器になります。

退去前にゴミを撤去するのが最優先

退去前にゴミ撤去が最優先

ここまで原状回復の費用や対処法をご紹介してきましたが、最も重要なのは「退去前にゴミを撤去しておくこと」です。ゴミが残ったまま退去すると、費用が大幅に増加するだけでなく、交渉の余地も狭まってしまいます。

残置物があると費用が大幅に増加する

退去後に部屋にゴミや不用品(残置物)が残っている場合、大家さんは業者を手配してこれを撤去し、その費用を借主に請求します。この場合、借主が自分で業者を選ぶことができないため、相場より割高な費用を請求されるリスクが高まります。

さらに、残置物が残っている期間は次の入居者を募集できないため、空室期間中の家賃相当額を損害賠償として請求される可能性もあります。これは原状回復費用とは別の出費となり、トータルの負担がさらに膨らむ原因になります。

退去前にゴミ片付け業者に依頼するメリット

退去が決まったら、できるだけ早くゴミ片付けの専門業者に依頼するのが最もコスパの良い選択です。自分で業者を選んで依頼することで、以下のようなメリットがあります。

  • 複数の業者から見積もりを取り、適正価格で依頼できる
  • 退去日に間に合うようにスケジュール調整ができる
  • 残置物に関する追加請求を回避できる
  • 業者によっては買取やリサイクル対応で費用を抑えられる
  • 退去後の原状回復費用の交渉が有利になる

ゴミを撤去した状態で退去すれば、大家さんからの印象も大きく異なります。「誠意を見せた」ということが、費用交渉を円滑に進めるための大きなポイントになるのです。

敷金との関係を理解しておく

入居時に支払った敷金は、退去時の原状回復費用と相殺されるのが一般的です。敷金は「預り金」としての性質を持ち、原状回復費用を差し引いた残額は返還されるのが原則です。

ただし、ゴミ屋敷化による原状回復費用が敷金の額を大幅に超える場合、差額が追加で請求されることになります。一般的な敷金の目安は家賃の1〜2ヶ月分ですが、ゴミ屋敷の原状回復費用は家賃の3ヶ月分以上になることが多いため、追加の持ち出しが発生するケースがほとんどです。

だからこそ、退去前にゴミを撤去して原状回復費用を最小限に抑えることが、最終的な出費を減らすための最善策なのです。

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料金の目安

間取り料金目安(税込)
1K28,000円〜
1DK55,000円〜
1LDK88,000円〜
2LDK121,000円〜
3LDK154,000円〜
4LDK158,000円〜

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まとめ

まとめ

今回は、ゴミ屋敷化した賃貸物件の原状回復義務と退去費用について解説しました。最後に、押さえておきたい5つのポイントをまとめます。

  1. 原状回復は「新品に戻す」ことではない。国交省ガイドラインでは、通常損耗・経年変化は貸主負担と定められている
  2. ゴミ屋敷化は善管注意義務違反に該当するが、すべてが借主負担になるわけではなく、通常損耗との分離が重要
  3. 費用の相場はゴミ撤去が7.7万〜60万円、原状回復が家賃3ヶ月分程度。深刻なケースでは100万円を超えることもある
  4. 高額請求には冷静に対処する。内訳の開示、通常損耗の分離、耐用年数による減価償却の確認が重要
  5. 退去前にゴミを撤去しておくことが、費用を最小限に抑える最善策。自分で業者を手配するのが最もコスパが良い

ゴミ屋敷の退去は確かに大変ですが、正しい知識を持って冷静に対処すれば、不当に高額な費用を支払う必要はありません。まずは退去前のゴミ片付けから始めて、できるだけ有利な状態で退去を迎えましょう。

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