「故人が保有していた株はどのように扱われるの?」
「故人の株の処理方法や相続方法は、どのようにすればいいの?」
「株を保有していたことは知っているけど、どこの証券会社に持っていたのかがわからない」
とお悩みではありませんか?
遺品を整理していて、故人が株を保有していたことが発覚した場合、処理の仕方や相続方法が分からなくて戸惑ってしまいますよね。
そこで今回は次の5つの内容を徹底解説します!
・株式の相続について
・遺産分割の3つの方法
・遺産分割前の議決権行使について
・被相続人(故人)の株式を確認する4つの方法
・証券会社が分からない場合の調べ方
最後まで読むと、故人が残した株の対処方法がわかり、適切に対応できるようになりますよ。
目次
故人が保有していた株式は、他の財産と同様に相続の対象となります。
株式には、会社の承認がないと譲渡できない「譲渡制限株式」がありますが、相続のような一般継承の場合はその対象とはなりません。
株式は遺言や生前贈与、信託のような事業承継施策が行われていない場合、相続人が複数いる際は、遺産分割をして相続します。
遺産分割前の株式は、法定相続分に応じて当然に配分されるのではなく、相続人の「準共有状態」となります。
たとえば、故人であるAさんが100株保有しており、法定相続人に妻B・長男C・次男Dがいるとします。
この場合、通常の遺産であれば妻Bに50%(50株)、長男Cと次男Dにそれぞれ25%(25株)ずつが相続されますが、株式はそのように配分されません。
株式相続の場合は、先述したように「準共有状態」となるため、「遺産分割協議」を行う必要があります。
遺産分割協議とは、相続人間で、株式の帰属割合を決定する話し合いのことです。
遺産分割協議を行い、株式の配分割合が決定した場合は、相続人が企業に対して名義変更の手続きをとり、株主としての権利を行使できるようになります。
遺産分割協議で、株式の配分割合が決定しても、後々相続人間でのトラブルを防ぐ目的で、「分割協議書」を作成しておくことをおすすめします。
株式の遺産分割方法は以下の3つです。
1.現物分割|株式をそのまま受け継ぐ
2.換価分割|株式の売却代金を相続人で分配
3.代償分割|代表者が株式を相続して他の相続人に代償金を支払う
それぞれの内容を理解しておくと、適切に相続できるようになりますよ。
それでは順番に解説していきます。
1つめは、「現物分割」です。
現物分割とは、株式をそのまま受け継ぐ方法で、もっとも一般的に行われている相続方法です。
準共有状態となっていた株式を、それぞれの相続人が単独保有します。このとき、単位株制度が取られている場合は、単位未満株式を生じさせられないので注意しましょう。
2つめは、「換価分割」です。
換価(かんか)分割とは、株式の全部または一部を第三者へ売却して現金化し、その代金をそれぞれの相続分に応じて配分する方法です。
株式の価値は日々変動するため、換価分割により現金化すると、平等に配分できるメリットがあります。
3つめは、「代償分割」です。
代償分割とは、相続人のうちの誰かが代表者となり、遺産の全部または一部を取得し、その代償として他の相続人に不足分の代償金を支払う方法です。
ただし、遺産分割協議書に代償金を支払う旨の記載が無い場合は、代償金が贈与とみなされてしまう恐れがあるので注意しましょう。
株主には、会社運営の議決権が与えられますが、遺産分割協議前や、相続をめぐるトラブルなどで遺産分割協議が長引いてしまって未了の場合は、株式は準共有状態のままになっているので、会社法106条の規定に基づいて権利行使します。
会社法106条には、「株式が複数人(2者以上)に帰属するとき、共有者は株式の権利を行使する代表者を1人決定し、株式会社に対してその者の氏名または名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使できない」という旨の内容が記載されています。
ただし、株式会社が当該権利の行使に同意した場合は、この限りではありません。
参考:会社法106条(共有者による権利の行使)|一般財団法人全日本情報学習振興協会
遺品を整理していて、「被相続人(故人)が株式を保有していたことは知っているけれど、何の株をどのくらい持っていたのか、どこの証券会社で取引していたのかがわからない」と困るケースは多く見られます。
そのような場合に、被相続人(故人)の株式について調べる方法を4つ紹介していきます。
1.証券会社へ問い合わせる
2.故人の通帳をチェック
3.故人のパソコンをチェック
4.確定申告の控えをチェック
それでは順番に解説していきます。
故人が保有していた株式を調べる代表的な方法に、「被相続人の名義がある証券会社への問い合わせ」があります。
証券会社で株式を取引している場合、「年間取引報告書」などの郵便物が届きます。
証券会社からの郵便物を頼りに、記載されている連絡先へ問い合わせてみましょう。
問い合わせる前に、証券会社のホームページの「よくある質問」に、株式の保有者が亡くなった場合の対処法が記載されているかをチェックして、不明点を確認しておくと速やかに進みます。
株式を保有していると、配当金が振り込まれます。
故人が株式を保有している場合も同様に、配当金が振り込まれている可能性があります。
故人の通帳をチェックし、心あたりのない振り込み履歴がないか確認してみましょう。
インターネット上で株式を取引している場合、明細はオンラインで閲覧できるため、年間取引報告書のような郵便物が届かない可能性があります。
そのような場合は、故人が使っていたパソコンをチェックし、お気に入りや閲覧履歴に証券会社のホームページやログイン画面が残っていないか確認してみましょう。
株式の取引で所得が20万円を超えている場合は、原則として確定申告する必要があります。
したがって、確定申告の控えをチェックすると、証券会社を見つけられる可能性があります。
先述した4つの方法を試しても証券会社がわからない場合は、「ほふり(証券保管振替機構)」で調べてみましょう。
ほふり(証券保管振替機構)とは、上場株式などの振替を一括管理している機関のことです。
証券会社から預けられた株式や社債、投資信託などを一括管理し、名義変更や売買にともなう受け渡し、発行会社への株主通知などを行います。
ここからは、ほふりで故人が保有していた株式の情報を開示請求する流れを、以下の3ステップで解説します。
1.必要書類を用意する
2.必要書類を郵送する
3.開示結果を受け取る
参考:ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合|証券保管振替機構
それでは順番に見ていきましょう。
まず、必要書類を用意しましょう。
必要書類は、手続きする人によって異なります。
法定相続人による請求で必要になる必要書類は、以下の4つです。
・開示請求書
・法定相続人の本人確認書類
・法定相続情報一覧図または相続人と被相続人との関係を示す戸籍など
・被相続人の住所の確認書類
開示請求書は、証券保管振替機構のホームページからPDFをダウンロードして、必要事項を記入します。(開示請求書PDFダウンロード|証券保管振替機構)
法定相続人の本人確認書類は、運転免許証や各種保険証など、指定されているものの中からいずれか1つのコピーを用意しましょう。
法務局から発行された法定相続情報一覧図の原本を提出する場合は、戸籍謄本は不要になります。
法定相続情報一覧図がない場合は戸籍謄本の提出が必要です。しかし原本を提出すると返却されないのでコピーを提出するようにしましょう。
被相続人の住所の確認書類は、法定相続人と同様に運転免許証や各種保険証などのコピーを提出しましょう。
必要書類に関する詳細は、以下のリンクから確認できます。
上記の必要書類が用意できたら、証券保管振替機構に郵送します。
窓口での受付は行っていないので、留意しておきましょう。
【郵送先】
〒103-0026
日本橋茅場町郵便局留
東京都中央区日本橋兜町7番1号 KABUTO ONE
株式会社証券保管振替機構
開示請求事務センター
※「日本橋茅場町郵便局留」と記載してください
郵送方法に特別な指定はありませんが、個人情報を含む重要書類を送付するため、書留郵便やレターパックなど、配送記録が残るものを選択することをおすすめします。
必要書類に不備がなければ、開示請求の結果(登録済加入者商法通知書)が、請求者の本人確認書類に記載されている住所宛に送付されます。
開示結果は代金引換サービス(簡易書留)で送付されるので、所定の費用を郵便局で支払い、登録済加入者商法通知書を受領します。
所定の費用も証券保管振替機構のホームページで確認可能です。
以上、本記事では、下記の5つの内容について徹底解説しました。
・株式の相続について
・遺産分割の3つの方法
・遺産分割前の議決権行使について
・被相続人(故人)の株式を確認する4つの方法
・証券会社が分からない場合の調べ方
遺産の相続には様々な手続きや法律があり、対処方法に困る状況は多く見られます。
トラブルが起きる前に、困った時は弁護士や税理士、司法書士などの専門家に相談するのも一つの手です。
相続人間や第三者との話し合いが必要なトラブルの解決は、弁護士が専門としています。
1人で抱え込まずに、困った時は専門家へ相談しましょう。
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