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2023.03.03
生前整理のお役立ちコラム
 

【不動産の生前贈与】税金や非課税制度・名義変更の手続き方法を解説

不動産を生前贈与するときに気になるのが、税金や名義変更などの手続きですよね。

 

「不動産を生前贈与したときにかかる税金は何?」

「取得税を軽減したり非課税にしたりする仕組みはあるの?」

「不動産を生前贈与するときの名義変更の手続きはどのようにすればいいの?」

 

と困っていませんか?

 

そこで本記事では、次の5つの内容について解説します。

 

・生前贈与とは

・贈与税について

・不動産を名義変更する手続き

・生前贈与の注意点

・生前贈与と相続の違い

 

最後まで読むと、不動産を生前贈与するときの税金や手続き周りを理解でき、適切な対応が取れるようになりますよ。

生前贈与とは|存命のうちに財産を贈与すること

 

 

生前贈与とは、存命のうちに財産を他者に無償で贈与することです。

「財産」には、現金や預貯金、美術品や宝石、株式や有価証券などの動産だけでなく、土地や住宅などの不動産も含まれます。

 

生前贈与しておくと、自分が亡くなってしまった後に相続する財産を減らせて、相続税の軽減に繋がるメリットがあります。

贈与税|生前贈与したときにかかる税金

 

個人から財産を生前贈与したときにかかる税金は「贈与税」です。

なお、法人から財産を贈与されて取得した場合は、贈与税ではなく「所得税」がかかります。

 

贈与税の課税方法は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの方法があります。

受贈者(財産を受け取った者)は、贈与者(財産を渡した者)ごとに課税方法を選択できますが、計算方法や控除額が違ってくるので注意が必要です。

暦年課税|贈与税の課税方式

 

「暦年課税」とは贈与税の課税方式の1つです。

1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して課税します。

 

したがって、1年間で贈与を受けた財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税は発生せず、申告も不要です。

 

贈与税の税率は、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されています。

 

「一般贈与財産」は、以下の場合に適用されます。

 

兄弟間での贈与

・夫婦間での贈与

・親から子への贈与で、子が未成年の場合

・その他、特例贈与財産に該当しない場合の贈与

 

「一般贈与財産」の税率と控除額は、以下の表の通りです。

基礎控除(-110万円)後の課税金額 税率 控除額
200万円以下 10% ナシ
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
500万円以下 30% 65万円
600万円以下 40% 125万円
1,000万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

 

「特例贈与財産」は、以下の場合に適用されます。

 

直系尊属(親や祖父母)からの贈与により財産を取得した場合(受贈者が、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳(注)以上の者に限る)

(注)「18歳」は、令和4年3月31日以前の贈与に関しては「20歳」となります。

 

「特例贈与財産」の税率と控除額は、以下の表の通りです。

 

基礎控除(-110万円)後の課税金額 税率 控除額
200万円以下 10% ナシ
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

 

贈与税が非課税になる2つの仕組み

 

不動産の贈与は、財産の額が大きいため、贈与税が負担になりますよね。

そこで、条件を満たせば贈与税を非課税にできる仕組みを2つ紹介します。

 

1.相続時精算課税制度

2.配偶者控除

 

それでは順番に解説します。

1.相続時精算課税制度

「相続時精算課税制度」とは、直系尊属(親や祖父母)からの贈与額の内、最大2,500万円まで贈与税が非課税になり、2,500万円を超える贈与に一律20%の贈与税が課税される制度です。

 

適用対象者は、贈与した年の1月1日時点で60歳以上の直系尊属(親や祖父母)から受贈した者(受贈者は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳(注)以上の者のうち、贈与者の子や孫(直系卑属)などの推定相続人)とされています。

(注)「18歳」は、令和4年3月31日以前の贈与に関しては「20歳」となります。

 

一括だけでなく、複数回に分けた贈与でも合計2,500万円までは非課税で、財産の種類に制限もないため、不動産だけでなく現金や貴金属、株式や有価証券なども対象になります。

 

しかし、一度「相続時精算課税制度」を選択すると、それ以降は同じ贈与者からの贈与に関しては暦年課税に戻せなくなり、110万円の基礎控除は適用されなくなります。

 

ただし、住宅取得等資金の贈与税の非課税特例は併用可能なので、相続時精算課税制度の特別控除(2,500万円)と併せて3,000万円までの贈与税は非課税になります。

2.配偶者控除

相続時精算課税制度以外にも、配偶者への生前贈与で贈与税を非課税にできます。

 

配偶者控除は、夫婦間で住宅や住宅取得のための資金を贈与した場合に適用でき、贈与金額から2,000万円が控除されます。

 

配偶者控除は、基礎控除額の110万円との併用も可能で、最大2,110万円までが贈与税非課税となります。

 

以下の条件を全て満たす場合に、配偶者控除が適用可能です。

 

・婚姻期間が20年を過ぎた後に行われた贈与である

・贈与された財産が、居住用不動産または居住用不動産を取得するための資金である

・贈与を受けた翌年の3月15日までに居住し、その後も引き続き住む見込みである

 

配偶者控除は、同じ配偶者からの贈与に関しては一生に一度しか適用されません。

不動産を名義変更する手続き|法務局で申請

 

不動産の名義を変更する手続きは、その土地を管轄している法務局で申請します。

 

法務局で名義変更するときに必要となる書類は以下の7つです。

 

登記申請書

・登記識別情報または登記済証(一般的には権利書と呼ばれるもの)

・贈与する土地の固定資産評価証明書

・登記原因証明情報(贈与契約書など)

・贈与者の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)

・受贈者の住所証明情報(住民票など)

・委任状(司法書士に依頼する場合)

 

登記原因証明情報となる「贈与契約書」は、書式・様式に規定はありませんが、以下の5つの情報を正確に記載する必要があります。

 

1.贈与する日付(贈与契約締結日と贈与履行日)

2.贈与者の氏名と住所

3.受贈者の氏名と住所

4.贈与財産に関する情報(土地の所在地や面積など)

5.贈与する方法

 

「登記申請書」と「登記識別情報」は、法務局にて受け取れますが、オンラインでの取得も可能です。

 

「固定資産評価証明書」と「印鑑証明書」、「住民票」などは、市町村の窓口で取得できます。

生前贈与の2つの注意点

生前贈与するときは、注意する点が2つあります。

 

1.相続税の対象になる可能性がある

2.家族間での揉め事に発展する可能性がある

 

何でも構わず贈与してしまうと、受贈者が負う税金が高くなってしまったり、家族でのトラブルに発展したりする可能性があるので、注意点についてしっかり理解しておきましょう。

1.相続税の対象になる可能性がある

死亡前3年以内に故人から贈与された資産は、贈与税ではなく相続税の対象になります。

これは、「生前贈与加算」といい、亡くなる直前に相続財産を減らして、相続税を軽減させる目的で生前贈与するのを防ぐためです。

 

贈与税の基礎控除額に満たない110万円以下の贈与に関しても、生前贈与加算の対象になるので注意しましょう。

2.家族間での揉め事に発展する可能性がある

生前贈与は、契約書を交わさずに口約束だけでも可能です。

しかし、法定相続人全員にしっかりと説明して同意を得ないと、トラブルに発展する可能性が高いため、必ず事前に話し合い、契約書を作成しておきましょう

 

まとめ|財産をより多く残せる方法を選択しよう

 

以上、本記事では、下記の内容について解説しました。

 

生前贈与とは

贈与税について

・不動産を名義変更する手続き

生前贈与の注意点

生前贈与と相続の違い

 

生前贈与で相続資産を削減して、相続税を軽減させられる場合もあります。

 

しかし、必ずしも生前贈与の方が多くの資産を相続できるわけではありません。

 

自分の資産状況や法定相続人との綿密な話し合いで、より多くの資産を残せる方法を選択しましょう。

 

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