遺品整理業者との契約をクーリングオフできるのか気になる方もいるかもしれません。
私はプロの遺品整理業者として働いていますが、クーリングオフについて次のような相談をよくいただきます。
「どんな場合に遺品整理業者との契約をクーリングオフできるの?」
「具体的にどんな手続をすればいいの?」
「トラブルが起きた場合、どこに相談すればいい?」
結論から言うと、条件にあてはまれば遺品整理の契約をクーリングオフすることは可能です。
今回は「遺品整理をクーリングオフできる条件」や「クーリングオフの手順」「トラブルの相談先」などについて解説します。
優良業者を選ぶポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
先ほどもお伝えしたとおり、遺品整理の契約をクーリングオフすることは可能です。
ここではクーリングオフの仕組みや、クーリングオフができる条件について解説します。
そもそもクーリングオフとは、サービスの契約や商品の購入をなかったことにできる制度です。
一度契約を結んだり申し込んだりした後でも、一定の期間内であれば契約の解除や申し込みの撤回ができます。
とはいえ、全ての取引がクーリングオフできるわけではありません。
次のような取引がクーリングオフの対象とされています。
・訪問販売(業者が消費者の自宅などを訪ねて、商品の販売や契約を行う取引)
・訪問購入(業者が消費者の自宅などを訪ねて、商品の買い取りを行う取引)
・電話勧誘販売(業者が電話で勧誘し、申込みを受ける取引)
・特定継続的役務提供(継続的なサービスの提供とその対価を約束する取引)
・連鎖販売取引(個人を販売員として勧誘し、その個人に次の販売員の勧誘をさせる取引)
・業務提供誘引販売取引(個人に仕事を提供するという理由で金銭的な負担を強いる取引)
クーリングオフは、個人消費者を救済するための制度です。
契約を交わすときの状況によっては、個人が不利な立場に置かれる場合もあります。
そういった場合でも、冷静に考え直す(クーリング)する期間を設けることで、消費者側から一方的に契約を解除できるようなっています。
遺品整理業者の事務所ではなく依頼者の自宅で契約を交わしたときは、クーリングオフができる場合があります。
なぜならクーリングオフ制度の対象となる「訪問販売」にあたる可能性があるからです。
訪問販売をクーリングオフできる期間は、契約を交わした日から8日以内(契約当日を含む)とされています。
この期間内であれば、遺品整理の作業が済んだ後や費用を支払った後でもクーリングオフを行うことが可能です。
ただし業者側から妨害されたときは、期間を過ぎてもクーリングオフができる場合もあります。
遺品整理に限らず訪問販売で強引に契約を迫ったり、あいまいな契約を交わしたりするトラブルは昔から少なくありません。
このようなトラブルがあった場合は、クーリングオフ制度が活用できないか確認してみましょう。
遺品整理業者との間でトラブルがあった場合、まずは消費生活センターか国民生活センターに相談することをおすすめします。
なぜなら実際にクーリングオフを適用できるかどうかは、事例に詳しい人でなければ分からない場合もあるからです。
遺品整理の契約をクーリングオフしたい場合でも、次のように判断が難しいケースもあります。
・自宅ではなく実家で契約を交わしたけど、訪問販売にあたる?
・マンションの共有部で契約書にサインしたけど、訪問販売にあたる?
・遺品の買い取りだけをクーリングオフすることは可能?
消費生活センター・国民生活センターは、消費者と事業者の間でおきたトラブルの相談を受け付けている機関です。
国や地域が管理しているため相談料は無料。たとえクーリングオフができなくても、その他の対処法もアドバイスしてもらえます。
相談窓口が分からない場合は、局番なしの「188(消費者ホットライン)」に電話しましょう。最寄りの消費者センターに電話をつないでくれます。
遺品整理の契約をクーリングオフする場合、書面などで業者側に通知をする必要があります。
書類の送り方や記載事項は、次のとおりです。
遺品整理業者にクーリングオフを申し込むときは、書面(ハガキでも可能)を郵送するのが一般的です。
書類の到着日がクーリングオフの期間を過ぎていても、消印が期間内であれば問題ないとされています。
公的な記録が残るように、必ず内容証明や書留で送りましょう。
電話など口頭でのやり取りや普通郵便での送付は、十分な証拠が残らないため避けたほうが良いとされています。
書面は送る前にコピーを取り、内容証明や書留の控えとあわせて保管しておくと安心です。
クーリングオフの通知を書面で送る場合は、「次の契約を解除します」などの文言に続けてキャンセルする契約の内容を記載します。
契約の内容とは、次のような情報のことです。
・契約年月日
・購入商品(サービス)名
・業者名、担当者名
・契約金額
・通知年月日
・契約者の氏名と住所
もし詳しい書き方が分からない場合や手続きに不安がある場合は、消費生活センターか国民生活センターへ相談しましょう。
クーリングオフには期限もあるので、一人で悩まずに早めに相談することをおすすめします。
遺品整理業者の料金をクレジットカードで支払っていた場合は、カード会社へもクーリングオフの通知をしておく必要があります。
なぜなら遺品整理業者とカード会社のあいだで、クーリングオフの事実が共有されない可能性もあるからです。
カード会社への通知は、遺品整理業者への通知と同じように内容証明や書留で郵送しておきましょう。
書面の内容は、遺品整理業者への通知と同様の内容でかまいません。
該当の取引が分かるように、遺品整理業者の住所や電話番号も追記しておくと親切です。
遺品整理におけるトラブルのほとんどは、一部の悪質な業者が起こしています。
そのため誠実な業者を選べば、クーリングオフを考えるほどのトラブルに見舞われる可能性も低くなります。
遺品整理業者を選ぶときは、ぜひ次のようなポイントに注目して優良業者を選んでください。
依頼前に遺品整理業者に訪問見積りをしてもらえば、業者の態度や対応の良し悪しを確認できます。
また、現場を確認してから見積りを出すことで、不当な追加請求といったトラブルを避けられる可能性も高くなります。
見積り書を確認するときは、記載されている作業内容や料金、どのような場合に追加料金が発生するのかなどを確認しておきましょう。
もし分からないことがあれば、遠慮せずに業者の担当者に質問してください。
誠実な業者であれば、はっきりと説明してくれるはずです。
依頼を考えている遺品整理業者が、次のような資格を持っているか確認しておくことも大切です。
・廃棄物収集運搬許可(不用品を処分するために必要)
・古物商許可(遺品の買い取りなどに必要)
・遺品整理士(遺品整理に関する知識がある証)
廃棄物収集運搬許可証を持っておらず、引き取った不用品の処分方法も明らかにしていない業者は、不法投棄の心配がぬぐえません。
また、古物商許可を持っていない業者による遺品の買い取りは、法律に反する可能性があります。
遺品整理士の資格は必須ではありませんが、資格を持っているスタッフが在籍している業者であれば安心して依頼できます。
遺品整理士は遺品の取り扱い方やマナー、関連する法律についての知識を有する人だけに与えられる資格です。
つまり遺品整理士であれば遺品を大切に扱い、各種の法律を守ったうえで作業を行ってくれます。
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遺品整理士認定協会から「優良企業」に指定されている業者を選べば、より安心して依頼できます。
遺品整理士認定協会は、遺品整理業界の健全化を目的に運営されている組織です。
優良企業の認定は、次のような業者にしか与えられません。
・企業として登記されていて実体がはっきりとしている
・各種の法律やコンプライアンスを守っている
・問題のあるクレームが発生していない
・廃棄物の処理を適正に行っている
万が一、認定を受けている業者の対応で問題があった場合は、協会が厳正に対処してくれます。
遺品整理の現場は、遺品の種類も間取りも、遺族の事情もそれぞれ異なります。
そのため経験豊富な業者のほうがトラブルが起きにくいうえに、作業もスムーズに進むでしょう。
悪意がなかったとしても、経験不足な業者では作業の遅れや遺品の破損などのミスがおこる可能性もゼロではありません。
初めて遺品整理を依頼する場合は、業者のホームページやブログで実績を確認したり、口コミを検索したりして経験豊富かどうかを確認しましょう。
最後にもう一度、「遺品整理のクーリングオフ」についておさらいしましょう。
・依頼者の自宅で遺品整理の契約を交わした場合は、クーリングオフができる可能性がある
・遺品整理をクーリングオフできる期間は、契約を交わした日から8日以内
・業者とのトラブルがあったときは、まずは消費生活センター・国民生活センターに相談する
・クーリングオフの手続きは、ハガキなどの書面で業者側に通知することで行える
・業者に依頼するときは、見積り書の内容や持っている資格などもチェックしておく
・遺品整理士認定協会から「優良事業所」に指定されている業者を選ぶと安心
クーリングオフには期限があります。もしクーリングオフを考えている場合は、早めに相談し対処することが大切です。
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