


生前整理の中でも、特に多くの方が悩む品物のひとつが「着物」です。
自分や家族の歴史が詰まっている着物は、思い入れが強く、処分にも譲渡にも迷いが生まれます。
さらに、「娘や孫に残したいけれど、どれを残せばいい?」「遺言書にはどう書けばいい?」
といった “残し方の問題” に悩む方は少なくありません。
この記事では、着物の生前整理で迷いやすいポイントから、遺言に着物を残す方法、保管の仕方、そして手放す場合の適切な方法まで、丁寧に解説していきます。

着物は洋服と違い、種類・価値・思い出の深さが複雑に絡むため、生前整理において特に判断が難しい品目です。
ここでは、なぜ着物だけが特別扱いされるのか、その理由を整理していきます。
目次
着物は、自分の人生の節目や家族との記憶が深く刻まれています。
成人式、結婚式、親からの贈り物など、ひとつひとつにストーリーがあります。
そのため「捨てる」という決断に罪悪感を覚えることが多いのです。
着物は素材、仕立て、染め、作家によって価値が大きく左右されます。
一般の方にはその違いが分かりにくく、残すべき着物と手放して良い着物の判断が難しいのが現状です。
着物は量があるほど収納スペースを圧迫します。
たとう紙や桐箪笥の管理には手間もかかり、残す量を決める必要があります。
生前整理で着物を残すか手放すかを決めるためには、まず明確な方針が必要です。
闇雲に整理を始めるのではなく、以下のポイントに沿って仕分けを進めましょう。
生前整理では、着物を以下の3種類に分類するのが最も効率的です。
・残す着物
・手放す着物
・判断保留
とくに“判断保留”を作ることは大切で、一度に全てを決める必要はありません。
「娘は本当に着物を着るのか」「孫が将来成人式で使う予定はあるのか」
家族に確認するだけで残すべき着物の方向性が見えてきます。
自分だけで決めず家族の意見も参考にしましょう。
着物を残す基準としては、
・状態が良いもの
・価値が高いもの
・使用頻度の高いもの
が挙げられます。
逆に、虫食いやカビ、シミがある着物は手放す候補です。

生前整理を進めるうえで、「誰に渡すのか」「どの着物を残すか」は重要な問題です。
ここでは、残し方の方向性を見ていきます。
思い入れのある着物を特定の人に託す方法です。
「この訪問着は娘へ」「帯は孫へ」など、個別に伝えておくと、遺言書にも反映しやすくなります。
着物は一点一点が高価な場合があり、家族間で偏りが出ることもあります。
・点数を揃える
・価値が近い物同士をセットにする
など、公平性を配慮した分け方を検討しましょう。
近年では着物を着る機会が少なくなり、「残しても家族は着ない」というケースが増えています。
その場合は、
・着物教室
・劇団
・着付け専門学校
などへ寄付する方法もあります。
「確実にこの着物をこの人に残したい」
そう思った場合、遺言書に記載するのが最も確実な方法です。
しかし、着物特有の注意点があります。
遺言書には、
・誰に
・どの着物を
・どのように渡すか
を明確に記載する必要があります。
「振袖」「訪問着」「帯(名古屋帯・袋帯)」など、種類を具体的に書きましょう。
また、点数や状態を記載しておくと、遺族の混乱を防げます。
遺言に書いていても、家族間で気持ちのズレがあるとトラブルになることもあります。
生前のうちに家族へ意図を伝えておくと、争いを防ぎやすくなります。

残すと決めた着物は、大切に保管する必要があります。
ここでは、正しい保管方法のポイントを解説します。
着物は湿気に非常に弱く、カビの原因となります。
半年に一度の虫干しで空気を通し、湿度を下げることが重要です。
たとう紙は数年で劣化するため、定期的に新しいものへ交換しましょう。
着物は折り目に沿って丁寧に畳み、桐箪笥に収納するのが理想です。
風通しの良い場所、直射日光が当たらない場所が最適です。
温度・湿度が一定の環境を保つことが、長持ちの秘訣です。
生前整理では、「残す」と同時に「手放す」選択も重要です。
大切な着物を無駄にしないための方法を紹介します。
着物の価値が分からない場合は、専門店で査定してもらいましょう。
思いのほか高値がつくこともあります。
愛着のある着物は、バッグや小物にリメイクすることで形を変えて残すことができます。
「思い出は残るけれど、場所は取らない」おすすめの方法です。
着物教室や劇団では、古い着物でも喜ばれることがあります。
捨てるのではなく「誰かに使ってもらう」ことで、心が軽くなります。
着物の仕分けは判断が難しく、家族だけでは決めきれないこともあります。
そんなときは、生前整理の専門業者に相談するのも一つの方法です。
プロの査定員や遺品整理士が、価値のある着物を丁寧に選別します。
一度に大量の着物を買取・処分できるため、スムーズに整理が進みます。
どの着物を誰に渡すかリスト化することで、遺言書作成時にも役立ちます。
着物の生前整理は、思い出と価値のバランスを取りながら丁寧に進める必要があります。
クリーンケアでは、着物の仕分け・査定・供養・買取の相談まで一括対応が可能です。
遺言書に残したい着物の一覧作成など、細やかなサポートも行っております。
着物は、生前整理の中でも最も扱いが難しい品物の一つです。
しかし、
・方針を決める
・家族と相談する
・遺言で明確に残す
・保管方法を整える
といったステップを踏むことで、後悔のない選択ができます。
残す着物も、手放す着物も、あなたの大切な思い出です。
大切に整理し、未来の家族が困らないようにしておきましょう。